建築石材の実例集.特別編「京都北大路橋ケア・メンテ」

昭和8年、一般国道367号、京都は賀茂川に架橋された北大路橋は、主要幹線道路として大きな役割を果たすとともに、周辺の豊かな自然環境と歴史に恵まれ、鴨川と調和したその美しいシルエットは多くの市民の皆様に愛されています。
行政機関のご発案、ご発注に、従来のスクラップ・アンド・ビルド的発想を超え、エコで環境に優しく、革まった街づくりを考えました。
架橋以来75有余年を経て老朽化した北大路橋について,架橋時の灯籠照明の復元や憩いの空間である眺望バルコニーの設置などの修景施設を整備してきました。
そして、この度、地域の皆様の大きな御協力をいただき、京都北大路橋の補強・修景工事が完成いたしました

補修前

経年の激しい傷み(目地割れ、接合部剥離、損傷など・・・)を時代遅れのクスラップ&ビルドの感覚で単に新設を、というよりも地域の方々に愛されて止まない「歴史橋」を、と考え、補修及び洗浄により綺麗な状態に修繕することにいたしました。

古い京都北大路橋の汚れ 古い京都北大路橋の汚れ

テスト施工

京都北大路橋の汚れ落としテスト右側の一部を再生テスト
汚れが落ちて、白くなりました。

テスト施行後、1年半以上が経ち、ようやく「ケア・メンテナンス」に基づく修繕工事が着工されました。

修繕過程

従来のスクラップ&ビルド的発想を超え、エコで環境に優しく革まった街づくりを考えました。橋梁、匂欄(親注も含む全ての欄干)の汚れを除去しリニューアルいたしました。

京都北大路橋の一部を分解 京都北大路橋のクリーニング作業

新しい京都北大路橋が完成

新しい京都北大路橋が完成「北大路橋」建設当初は、親柱の上に「灯籠」が設置されていたものの、経年で何らかの理由で喪失しており、今回の修繕において元の姿に近づけた由です。
この灯籠は夜になりますと明かりがつきます。
歩道もアスファルトから石造りの歩道へリニューアルできております。

京都北大路橋の修繕を終えて 〜新田倖石〜

思えば当初、私が馳せ参じての「テスト施行」及びご検証の時よりすでに1年6カ月以上のタイム・ラグがあり、諸般の事情とはいえ公共事業一環として、こうした「ケア・メンテナンス」への取り組みは、環境にやさしい「石材ケア・メンテナンス」を主意のテーマとしている私達にも、慶賀に堪えないことなのでした。
現に大量生産、大量消費、大量破棄、の社会システムは揺らぎ、自然と共生する、循環型社会システムをめざすこの国のかたちとしても「ケア・メンテナンス」は必須のことに違いありません。
仮にスクラップ&ビルドに必要とされる諸経費、物、人、時間などを計算、比較考慮しても、大規模な機械力に頼らず、静かに環境を顧慮しながらの「ケア」の実施は、必ずや今後のこうした諸工事政策の一環を担うはずです。

日本曹洞宗の開祖、道元禅師(1200〜1253)の主著「正法眼蔵」(しょうぼうげんぞう)の一篇に、<自未得度先度他>(じみとくどせんどた)の教えがあります。
禅仏教の悟りへの筋道は「発菩提心(ほつぼだいしん)」つまり、発心、修行、菩提、涅槃とされ、悟りへ向かう願心を発(おこ)し、修行を積み、煩脳を断ち、安心の境地、菩提に達する。そして涅槃こそ菩提をゆるぎないものとする、究極の悟りの境地とします。
が、道元禅師の認識は若干異なります。
安心の境地(菩提)に到達する前に、<自未得度先度他>の誓願を発(おこ)し直すことを説かれております。
これは<自未得度先度他>(自(おのれ)は未(いま)だ度(わた)ることを得(え)ざるに(先)ず他をわたす)。即ち、自分は未だ救われていないが、先にあらゆる人々を救おうとする。そのことが菩提に違いない・・・、との意なのでしょう。

「換骨奪胎(かんこつだったい)」のお叱りを覚悟して申し上げれば、先のこうした取り組みの実地は「石の悩み」を考える上での<自未得度先度他>の育成に繋がるように思うのですが、いかがでしょう・・・。

※「正法眼蔵」その他の"意"は、随筆家・松本章男氏の著述を参考にいたしました。


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まずは、石材クリーニングの実績 → 施工事例集をご覧下さい。

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出版書籍
書籍「石の汚れ、あきらめないで」
石物語 石材ケアの今
石の汚れあきらめないで!
著者:新田倖石
発行:日本石材工業新聞社
価格:4,000円
内容:石材ケアの現状と事例集。石材店・墓石店のプロ用「石材ケア マニュアル」
石の汚れの知識と石材の簡易辞典、石材業必見の一冊