建築石材の実例集.39 「黒御影 石壁の白色化」
△月×日 小高い丘と緑の公園に屹立(きつりつ)と建つ四方ガラス張りの石の都にある市立の美術博物館。
そのメインエントランスへと続く階段の壁画は、実は黒御影石(鏡面仕上)の石壁。その屋上からは水が流れ、人工滝のイメージで美術博物館へと誘(いざな)っているのですが、オープン以来およそ12年にわたり流れ続けた水により、滝の水が風にあおられるばかりか、当然の事として設計者の意図とは異なり、目地からのエフロが流失。
さらに経年、俗に言うシリカ成分のスケール化が起こっているために、壁面の多くはまるで白いペンキを塗布したような状態になってしまっていました。
ご依頼の石材店および行政のご担当者の方も、異口同音に「何とかなりますか?」。 不安げにのぞき込みながら、「実は、何かあっては、ということで、この滝の水には希釈した塩素が混入してあるんですよ・・・」とおっしゃるではありませんか。
このコメントに、私は当案件における変質現象除去の困難さを察せざるを得ませんでした。
施工前 施工後
- 除塵、必要箇所の養生
- 清水でたっぷりと洗浄し、専用のエフロおよびシリカの除去剤を塗布します
- これを慎重に繰り返しながら、スケール化した汚れ部分の反応をみます
- 反応後、スクレーバー、そして続く拭き取りで取り除きます。未除去部分はダイヤモンドディスクを利用し研磨しますが、鏡面仕上げを考慮して、上位番手を使用します。
部位によっては、経年の水の垂れ汚れに、風化現象さえも散見できました。急遽現場で仮説足場を設置し、2日がかりの施工となりました。(写真は撮影のために養生シートを外して、シャッターを押したものです)
この街を代表する施設の一環、まして美術博物館ともなれば、「メンテナンス」「ケア」については日常的な心遣いをいただき、何かあればすぐさま石材ケア110番していただきたいものです。
豆知識:類似事例
黒御影石(斑レイ岩)の墓石 シリカ汚れの除去
「何度も拭き上げても、乾燥すると元の木阿弥状態です・・・」
ご依頼主(石材店)の深い嘆良きでした。
黒御影石(斑レイ岩)は、その黒さ故の宿命でしょうか?
施工前 施工後
斑点も除去でき、ご満足頂けました。
※ 石材呼称は、御影石、大理石、ライムストーン等の通称に従います。
建造物の外壁や床などの経年劣化、綺麗に磨きます!
今まで、落ちなかった石材のシミや黒ズミの劣化汚れ・油性スプレーなどの落書きも消します!
石材洗浄はリフォームするより、早く安くお手軽です。
まずは、石材クリーニングの実績 → 施工事例集をご覧下さい。