建築石材の実例集.36 「鏡面黒御影石の汚れ除去」

△月○日 隣接して立派なクリニックを持ち、広く当地域に知られる医院の院長先生。そのご自宅の浴室リニューアル時に起きた、トラブルだったそうです。

浴室内は、施工済みの目地部位より白くエフロ(施工者の言)らしきものが噴出したそうです。
完了引渡しも間近に迫り、ご担当の地元老舗ゼネコンご担当者も、心配げに私のテスト施工をじっと見守っています。

ケミカルメーカーより取り寄せた除去剤で見事このエフロ状のものは除去できました。
そこまではよかったのですが、脱衣室、浴室壁面の黒御影石、それも鏡面仕上げの壁石が殆ど全部位に渡り、光沢が飛び、斑(まだら)状態を呈しているではありませんか!

温厚な院長先生も、さすがに、ご立腹の曇顔です。最早(もはや)、施工全部位の張替えの覚悟さえも視野にお入れになっての、ご依頼でした。

鏡面黒御影石の白濁化 鏡面黒御影石の白濁化をクリーニング
施工前 施工後

エフロ除去剤の酸性成分に起因する仕儀、一部温水・冷水のシャワーやカランまでも、いわゆる「酸ヤケ」といわれる痕跡が垣間見られます。

こうなると、その原因は明らか!私が何度もご注意申し上げる、「第三次汚染」の典型なのです。つまるところ、まさに「人為によるやってはいけない事」が原因で引き起こされたものに属します。

今回至急のご依頼は、石材製品供給メーカーさんからのもので、エフロ現象噴出に困惑した施工会社の問い合わせに、エフロ除去剤の存在をお知らせし、施工会社のご担当者の仕儀となった由でした。

「手直しは・・・?」とゼネコン現場担当者のお尋ねに「・・・、ございません。全部位張替え又は、再研磨による光沢復元を試みるよりは・・・」と一応はお答えしました。
早速、酸ヤケ「手直し?」のテスト施工と相成ったのですが、以下は、私の日頃の「石材ケア」の謂いには属さない例外となるかも知れません・・・。

鏡面黒御影石の再生手順です。
  1. 必要箇所養生、除塵、清水洗浄
  2. 上記1番を繰り返した後、専用のスクレーバーで御影石の鏡面仕上げをキズつけることのないように除去。
  3. 乾燥後、付着した酸性液体を除去し、中和剤を塗布
  4. 特殊専用除去剤を繰り返し塗布。酸ヤケによる"斑"部位と、光沢が残る部位との色調、光沢を調整

幸いにもテスト施工はご担当者にも了承が得られました。
ところが、結局は脱衣所浴室の該当壁面の全部位を施工することになりました。

時に診察の合間にお声をかけていただいた院長先生にも、「お疲れ様!」との一言をいただき、引き渡し前のあわただしい二日間を終えたのでした。

※ 少なくとも、ケミカル使用時にはケミカルの性質、性能等を今一度確認し、使用方法をよくメーカーなどに確かめ、ケアのターゲットに向かいましょう。とはいえ、石の汚れあきらめないで!

※ 石材呼称は、御影石、大理石、ライムストーン等の通称に従います。


建造物の外壁や床などの経年劣化、綺麗に磨きます!

今まで、落ちなかった石材のシミや黒ズミの劣化汚れ・油性スプレーなどの落書きも消します!

石材洗浄はリフォームするより、早く安くお手軽です。
まずは、石材クリーニングの実績 → 施工事例集をご覧下さい。

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出版書籍
書籍「石の汚れ、あきらめないで」
石物語 石材ケアの今
石の汚れあきらめないで!
著者:新田倖石
発行:日本石材工業新聞社
価格:4,000円
内容:石材ケアの現状と事例集。石材店・墓石店のプロ用「石材ケア マニュアル」
石の汚れの知識と石材の簡易辞典、石材業必見の一冊