建築石材の実例集.28 「防鎮スプレーの汚れ」

△月□日 これは落書き=グラフィティではありません。
来る3月25日から愛知県名古屋市郊外の丘陵地で開催される「愛・地球博」、 すなわち愛知万博の会場で採用される次世代交通システム「IMTS・燃料電池バス」が発着するターミナルの施工現場での出来事なのです。

仕上げも間近に迫ったある日、出入りの業者の方がいわゆるサビ止め用のスプレー缶を、高所から落下させてしまいました。 非情にもスプレー缶は破損、しかも落下したところは御影石貼りの床、更にバーナー仕上げという悪条件が重なってしまいました。

随分と広範囲にスプレー剤の流失が見られ、急遽依頼を請けた常駐清掃員の方も、何とか汚れを取ろう溶剤(シンナー系)等で拭いてみたり、洗浄剤とともにポリッシャーを掛けるなど、いろいろとトライされたようです。しかし残念ながら、いずれの処置も反応なく、お手上げ状態のようでした。

今回は、その部位を施工された大手石材業者さんからのご依頼です。
汚れが除去できないときは、該当部位全ての石の貼り替えとさえ覚悟されていたゼネコン監督氏立会いの下、除去の可否を調べるため普段と同様にテスト施工を行いました。すると、「ええ?この汚れが取れるのお!?」と目をパチクリさせながら、デジカメのシャッターを何度も押しておられました。

スプレーのペンキ汚れ スプレーのペンキ汚れをクリーニング
施工前 施工中

この現場では、最初のテスト部位から始め、全工程で2日間いただきました。
スプレーのペンキ汚れの除去作業の手順です。

  1. 対象部位のほこりをよく取り除きます。
  2. 専用ケミカル剥離剤を塗布します。
  3. ケミカルの効果(湿潤、浸透、乳化、分解)の進行を促すため時間をおきながら確認します。
  4. ケミカルの除去。スチーム洗浄します。
  5. バキュームにより吸引し、最後に乾燥させます。

スプレー缶を落下させてから、ほぼ1カ月近くも経ってからご連絡いただいた物件でしたが、何とか対応することができました。
ケアレスミスは誰でも、そしてどこでも遭遇してしまうものですが、お施主様へお納めする物件、しかも世界からお客様がおいでになる万博会場の顔のひとつになるバスターミナルですから、 ひとつひとつの業務を慎重に行いたいものです。
読者の皆様も、「愛知万博=愛・地球博」にお出かけの際、燃料電池バスご利用の折には、今回の石材ケアの場所をお探しいただくのも一興でしょう・・・


建造物の外壁や床などの経年劣化、綺麗に磨きます!

今まで、落ちなかった石材のシミや黒ズミの劣化汚れ・油性スプレーなどの落書きも消します!

石材洗浄はリフォームするより、早く安くお手軽です。
まずは、石材クリーニングの実績 → 施工事例集をご覧下さい。

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出版書籍
書籍「石の汚れ、あきらめないで」
石物語 石材ケアの今
石の汚れあきらめないで!
著者:新田倖石
発行:日本石材工業新聞社
価格:4,000円
内容:石材ケアの現状と事例集。石材店・墓石店のプロ用「石材ケア マニュアル」
石の汚れの知識と石材の簡易辞典、石材業必見の一冊